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空の青さが、やけにムカツク

『揺れるココロ、と高鳴るドウキ』__完全自作の小説・詩・散文サイト。携帯からもどうぞ。
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 ――いやぁ久し振りだなぁ。成人式以来か。ん? 俺は今、清掃事務所で窓口の係員やってんだ。
 ――えっ、別にそんな大変な仕事じゃないよ。馴染の業者に嫌味な奴も居るけどさ、そんなのどこにでもいるしね。あと、困るのは一般人の持込かな。そんな面倒なことでもないんだけどね、ちょっとした分別の相談とか、持ち込み品の説明とかさ。
 ――うん。まぁ、相談とか説明とかは大事な仕事ではあるんだけどね、でも決まりきったことを何度も言い続けるとさ、さすがに面倒な感じに――
 ――ああ、分かってる分かってる。それは面倒でも、ちゃんとしてるよ。だってさ、仕事だもんな。その辺はきちんと区別してるさ。ああ……でも、この間さ、ちょっと不思議な人が来て、あの時は困ったな。
 ――どんな人かって言われてもなぁ。なんて言ったらいいか……思いつめてた感じで、目が据わってたな。女の人だったんだけれどさ、キレイな人だったんだけど、服装とかが個性的って言うか、とにかく奇抜で説明できないんだけど、もう、負のオーラが凄くってさ。言葉ではちょっと言い表せないよ、あれは。
 ――うん。そう。ちょっと恐かった。イカレてる、みたいな雰囲気でさ。まあ用件的にもイカレてたんだけどね。
 ――どんな用件かって言うとね……うん。怖い内容でさ。「人の体って燃えるゴミで良いんですか」って質問されたんだ。
 ――そうだろ、普通そんなこと言われたら驚くよな。人でも殺したのかと思って、頭の中に「警察」って単語が浮かんだよ。でもホラ、決め付けは良くないじゃん?悪質な冗談かもしれないし、もしかしたら罰ゲームの可能性だってあるわけよ。で、慎重に聞いてみたんだけどさ、その内容が、やっぱり怖かった。
 ――あのね、自分を燃えるゴミに出したいんですって言ったんだよ、その女の子。ムチャだろ、普通に考えて。だからさ、気になって理由を尋ねてみたんだよ。そうしたら「自分はダメな人間なんです。この世に存在してはいけないゴミなんです」って言うわけ。諌めようと思ったんだけど聴く耳を持たずに同じ事を繰り返してばっかでさ、どうしたら良いのか分からないでいたら、同僚のバカがさ、人を燃やすのは火葬場ですなんて言って。そしたら彼女「火葬場には行きました。でも、死んだ人でないと燃やせないそうです。遺体を燃やすにも許可が必要だから、なおさらダメだと言われました」って言って黙っちゃったんだ。もう最悪の空気だよな。言った同僚もさすがにマズかったと思ったのか、その場から逃げ出しやがった。
 ――その通り。ったく迷惑な同僚だよ。
 ――ん。で、その後俺がどうしたかって言うと、火葬場って話で思いついた事があってさ。恐る恐る彼女に言ってみたんだ。
 ――なんだと思う?
 ――違う違う。だって「自分は生きててもゴミ」を通してるんだから、生きてる人は燃やせませんって何度言っても聴かなかったんだから。答えはね「火葬場でも骨は燃えませんよね。これは明らかな分別違反です」って言ったんだよ。
 ――うん。さすがに上手いこと言ったとは自分でも思ってないよ。苦肉の策だ。だけど、その女の人「……ああ、分別――そうですよね。忘れてました」って言って帰って行ったんだよ。自分でも呆然としたね。こんなにすんなりと進むなんて思ってなかったからさ。でも……その後味の悪い事悪い事。一人残されてさ、もの凄い、なんか罪悪感みたいなものを抱えちまった。
 ――その後? まぁ、一応警察には連絡しといたよ。でも住所とか名前とか訊いてなかったし、その後どうなったのか分からない。名前だけでも聞いてりゃ良かったんだろうけどさ、相談内容が衝撃的過ぎて忘れてたんだよね。名前さえ聞いとけば、新聞のお悔やみ欄で自殺しちゃったかどうか分かったかもしれないけど、手がかりが無いからなぁ。何とも遣る瀬ない話だよな。
 ――ああ、後味の悪い話して済まなかったな。でも、誰かに聞いて欲しかったっていうのもあったのかもしれない。俺一人で抱えるには、ちょっと大きすぎた問題だったものだから。
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あぁ何という
こんばんは。

私が一番病んでいた時にこの話を読みたかった。
さらっと書かれていますが、この女性の気持ちがそのまま伝わってきます。

うん、心に残る一話です。
たったかた~ 2009 / 05 / 22 ( Fri ) 01 : 14 : 50 編集
Re:あぁ何という
深い深い闇を抱えていたのですね。
あなたがその闇を抜け出した事に祝福を!
【 2009 / 05 / 22 07 : 59 】
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