夕焼けの色が心に響く。
まるで子供の夢のように。
路地裏には青い花が咲いている。コンクリートの割れ目から。
風を感じながら歩いていると、死んでいる猫を見つけた。
轢死した猫は血を吐きアスファルトを汚していた。
飛び出した目や血の流れた鼻に蠅がたかっている。
チリドッグを食べていたぼくの手は止まり、メロンソーダの缶を落としそうになった。
路上に死体を晒して、この猫はどんな気持ちでいるんだろう。ぼくは悲しい気分になってしまった。
これは同情だろうか、それは悪いことだろうか。死体を侮辱する行為だろうか。
分からないままに見下ろしている。
猫はどんなガソリンを揺らした乗り物に殺されたのだろう。
彼、もしくは彼女はどんな気持ちで死を迎えたのだろう。
いや、どんな気持ちを持っていたとしても、その気持ちはすでに消えてしまった。
小さな頃に飲んだママのミルクも、流れる小川みたいに駆け回った思い出も無くしてしまったんだろう。
蠅、死体。
とても残酷な光景だけれど、どこかの国では腹を空かせた子供たちは、顔にたかった蠅を時には食べ、貴重なタンパク源として摂取している。それすらままならない生まれたばかりのベイビーはミルクも飲めずに死んでいってる。
どちらが悲惨で、どちらが残酷なのか。
どうでも良い人生なんて、どこにも無いのに。
世界はどこまでも平等で、あるがままなのに。
感じるのは、ぼくの心。
ぼくが思っているだけ。比較しているだけ。
蟻のように踏みつけられる生き方だって、歯車のように使われる生き様だって、本当はみんな美しく汗の中で必死に生きる素敵な生活。
猫のような気ままな生き方も、きっと同じ。意味は同じ。
車の後部座席で黒い糸を操っている人間だって、本当の意味は同じ。
ただ生きているんだ。
自分の家族や大切な物を守りたいだけ。
きっとそういうことなんだ。
だけどどうしようもないことなんだ。
立場が違えば全部が反対になって、武器を取る。
誰かのために、何かのために。
それぞれの夕焼けの色を守るために。
なんて悲しいことなんだろう。どうしてそんなことになってしまうんだろう。
守るために戦うだなんて。
誰かのために誰かが傷つき、死んでしまうなんて。
泣きそうな気持ちになりながら、ぼくは荷物を捨てて猫を抱いた。
本当はどこかへ連絡するべきなのかもしれないけれど、そうしてしまったら、ぼくの中の大切な何かが、底の無い真っ暗な空間にどこまでも落ちていきそうな気がしてしまったから。
これから赤い車に乗って、猫が静かに眠れるような場所を探しに出かけよう。
それからぼくは、旅に出るんだ。
そうしてぼくは、旅に出るんだ。
壊れそうな、ぼくの心を取り戻すために。
果てしなく続くこの道をゆけば、きっと優しく美しい所に辿り着けそうな気がする。
まるで子供の夢のように。
路地裏には青い花が咲いている。コンクリートの割れ目から。
風を感じながら歩いていると、死んでいる猫を見つけた。
轢死した猫は血を吐きアスファルトを汚していた。
飛び出した目や血の流れた鼻に蠅がたかっている。
チリドッグを食べていたぼくの手は止まり、メロンソーダの缶を落としそうになった。
路上に死体を晒して、この猫はどんな気持ちでいるんだろう。ぼくは悲しい気分になってしまった。
これは同情だろうか、それは悪いことだろうか。死体を侮辱する行為だろうか。
分からないままに見下ろしている。
猫はどんなガソリンを揺らした乗り物に殺されたのだろう。
彼、もしくは彼女はどんな気持ちで死を迎えたのだろう。
いや、どんな気持ちを持っていたとしても、その気持ちはすでに消えてしまった。
小さな頃に飲んだママのミルクも、流れる小川みたいに駆け回った思い出も無くしてしまったんだろう。
蠅、死体。
とても残酷な光景だけれど、どこかの国では腹を空かせた子供たちは、顔にたかった蠅を時には食べ、貴重なタンパク源として摂取している。それすらままならない生まれたばかりのベイビーはミルクも飲めずに死んでいってる。
どちらが悲惨で、どちらが残酷なのか。
どうでも良い人生なんて、どこにも無いのに。
世界はどこまでも平等で、あるがままなのに。
感じるのは、ぼくの心。
ぼくが思っているだけ。比較しているだけ。
蟻のように踏みつけられる生き方だって、歯車のように使われる生き様だって、本当はみんな美しく汗の中で必死に生きる素敵な生活。
猫のような気ままな生き方も、きっと同じ。意味は同じ。
車の後部座席で黒い糸を操っている人間だって、本当の意味は同じ。
ただ生きているんだ。
自分の家族や大切な物を守りたいだけ。
きっとそういうことなんだ。
だけどどうしようもないことなんだ。
立場が違えば全部が反対になって、武器を取る。
誰かのために、何かのために。
それぞれの夕焼けの色を守るために。
なんて悲しいことなんだろう。どうしてそんなことになってしまうんだろう。
守るために戦うだなんて。
誰かのために誰かが傷つき、死んでしまうなんて。
泣きそうな気持ちになりながら、ぼくは荷物を捨てて猫を抱いた。
本当はどこかへ連絡するべきなのかもしれないけれど、そうしてしまったら、ぼくの中の大切な何かが、底の無い真っ暗な空間にどこまでも落ちていきそうな気がしてしまったから。
これから赤い車に乗って、猫が静かに眠れるような場所を探しに出かけよう。
それからぼくは、旅に出るんだ。
そうしてぼくは、旅に出るんだ。
壊れそうな、ぼくの心を取り戻すために。
果てしなく続くこの道をゆけば、きっと優しく美しい所に辿り着けそうな気がする。
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