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空の青さが、やけにムカツク

『揺れるココロ、と高鳴るドウキ』__完全自作の小説・詩・散文サイト。携帯からもどうぞ。
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<続き>
 実際に鳥の襲撃を察知したのはかげの方だったけれど、ひかりにも言い分はあると思う。
 前の通り、体を動かしているのはひかりの方だからね。餌を探し、口にするのもひかり。だから一時の雨に打たれて癒されていたっていう、一種の気の緩みっていうか、リラックスしすぎちゃったっていうことが上げられると思う。
 体の神経はかげにも伝わっていて、体の疲れ具合だとか、そういったことも感じ取れているんだけれど、ひかりが獲物を探している間、かげはそういった緊張状態にはいなかったからね。でも、ただボーっとしていたわけじゃあないよ。かげはいつでも自分の心と闘っている。きっと、その内面世界へ向けられた意識が外に向けられると、深い洞察力が得られるのかもしれない。
 けれど実際には内へばかり向かっているために、その力は得られていない。
 そうでしょう?
 だって、本当の洞察力って物が備わっていたのなら、自分たちの体の色が雨滴によって光を乱反射することに気がつき、鳥に見つかるよりも先に、ひかりへ忠告することができたはずなんだ。このままじゃ天敵に見つかりやすいから、どこかに隠れながら喉を潤そうよってね。
 とりあえず一命を――二命?――取り留めたんだから、それで良しとしなくっちゃね。
 良かった良かった。
 尻尾も再生して姿形も元に戻ったことも、前に言ったと思うけど、ひかりはそのために頑張ったんだよ。
 いつもより多く餌を食べ、休みを取る。
 なにげないことにようにも思えるけどさ、休みと捕食のバランスっていうのが結構大変。
 人間だって骨折とか、大きな怪我をしたら休むでしょう? トカゲが自由に尻尾を切り離せるっていっても、命を守るためだからね。ナイフを持った相手から顔や心臓を守るために、腕にガード傷ができるみたいなものだよ。
 ジッと我慢しなくちゃならない。それがどんなに退屈で憂鬱かは、一度病院に入院したことのある人なら共感できるんじゃないかな。
 プラス毒のある植物には注意しなくちゃならない。いくら細胞生成のためにエネルギーが必要だって言っても、そんな物を食べたら本末転倒だからね。
 あ、あと動きの速い虫とかは厄介だよ。
 追っている内に、こちらの体力が減ってしまう、なんてことも有り得るからね。
 色々と神経を使ってひかりは日々の生活を送り元に戻ったってわけ。きっと、かげの性格だったら、こんな毎日に耐え切れなかったかもしれないな。
 ヤケを起こして、ギャンブルめいた破滅への道を選んでしまいそう。
 ボクには、そんな気がするんだ。
 だけど、幸か不幸か、かげは体を動かせることはできない。だから体を動かさない分、彼は自分の内面へ向かって、時には引き合い時には反発する磁石みたいに、めくらめっぽう進んで行った。
 だから、ひかりがかげの異常に気付かなかったことは、残念だけれど仕方のないことだって思う。当然のような必然のような、これはきっと誰にも止められない種類の事故みたいな物だったんだ。突然起こった山火事が、気づいた時には消火不能な状態にまで拡大されてしまった、と言ったような種類の出来事。そんな事故。
 かげはね、いつの間にか外からの刺激に反応しなくなってしまっていたんだよ。まったく、全然。それはそれは石のように。
 兆候というものがあったとしたらね、それはひかりの言葉に反応する速度が遅くなったことだっただろう。でもひかりは必死だったし、体も疲れていたから、かげも疲労を感じて苦しんでいるのだろうってひかりは思っていたんだ。
 でも、その見方は間違っていた。
 複雑な心という物に肉薄しすぎたかげの意識は、心に飲み込まれつつあったんだよ。
 そのために心は意識に作用し、意識は心に作用したんだ。まるで別々の機械の歯車を無理矢理はめこんだみたいにね。この相互作用は当然のようにマイナスに働いたんだ。結果、かげは生ける屍のような状態に陥ってしまった。
 これはヒカリトカゲという双頭のトカゲにとって、致命的な事態を引き起こす可能性を秘めている。かげは体を動かすことはできなくても、今まで自分の領分、つまり首から上だけは自由に動かせたんだ。ひかりが体を動かす邪魔にならないよう、トゲや枝なんかを避けたりしていたってことなんだけれど、かげはそれすらできなくなってしまったんだよ。
 心と意識の器が割れてしまったかげにとって、トゲに目を刺されようが首に枝が絡まろうが何も感じはしないと思う。
 でもね、二匹の神経は共有されているから、例えトゲに刺されてかげが痛みを感じなくても、ひかりは痛みを感じ取ってしまう。かげの頭が枝に絡まってしまったら、ひかりも身動きができなくなってしまうんだ。
 つまり、ちょっとしたアクシデントで二匹の命が落ちかねない危険極まりない状況になっているってことなんだよ。
 ひかりはかげのことがとっても心配になっていたんだ。
 自分もかげのせいで死んでしまうかもしれないって以上に、唯一の肉親であり友達でもあるかげのことがね。
 だからひかりは、かげを正常に戻したいって考えた。なんとしても今の状況から、かげを救いたいってね。
 ひかりはそうして、かげの好物である果実を食べてあげようって思ったんだよ。
 二匹の神経は脳以外、ほとんど全部つながっているからね。ひかりが食べたものにかげがうまいとかまずいとか感じ取れるんだ。このせいで喧嘩をしたこともあったっけ。ひかりが好きな味とかげの好む味とは、ちょっとした違いがあったのさ。
 かげの好物とする果実は、ちょっと時期はずれでなかなか見つからなかった。
 けれどひかりは懸命に探したんだ。 
 かげのために、熱帯雨林の地面を這いまわった。
 もちろんかげがトゲや枝なんかに絡まれないよう、細心の注意を払ってね。
 これは神経を消耗させる、ひどく疲れる行為だったんだけれど、ひかりはそんなこと意にも介さなかった。
 そしてひかりは、ようやくその果実を見つけ出したんだ。
 けれどそれは半分、腐りかけてた。爛熟っていうのかな。強烈な匂いを放って、地面に落ち、黒ずんで潰れたようになっていた。
 ひかりは食べられそうな部分を選んで、果実を口にしたんだ。
 途端にひかりの口中に甘い匂いと味が広がった。甘いっていう形容詞の範囲内に納まらないほどに、それはそれは甘かったんだ。
 まさに脳天を直撃するほどの甘さ。
 今まで食べた、どんな物よりも甘くって、攻撃的な甘さだったんだ。どんな苦味もしょっぱさも辛さをも凌駕するほどに脳天を直撃し、ひかりは呻いて失神しそうになるくらい衝撃的な非常識な甘さだったんだよ。
 ひかりは不安と期待と胸焼けを感じながらかげに話しかけた。
「かげよ」けれど返事はない。「かげよ」一縷の望みをかけて呼びかけても同じだった。「かげよ――」失望に心を苛められながらも彼は声をかけつづけた。
 そしたらね、ひかりの思いが天に通じたのか、それとも必然的な運命によるものかは分からないけれども、かげが反応する気配をね、ひかりは感じ取ったんだ。
「かげよ」
 ひかりの呼びかけに、かげは鼻先をヒクヒク動かし、ちょっとしてからひどく寝起きの悪い子供みたいにゆっくりと目を開いた。それから瞳を動かし、事態を把握しようと辺りを観察して、一口齧られた果実を見つけたんだ。
「ひかりよ」しばらくしてかげは言った。「お前がこれを食べたのだな」
「ああ。そうさ」ひかりは嬉しくてたまらなかったのだけれども、かげに合わせてゆっくりとした口調で答えたんだ。「こいつを食べたのさ」
「ひかりよ。なぜこのような時期はずれて腐りかけたこの果実を食ったのだ。もし腹を下したらどうする。お前はそんな迂闊な者ではあるまいに」
 ひかりは不躾そうに聞こえる、かげの言葉に怒ったりはしなかった。
 むしろひかりは、いつも通りのかげの様子に喜んだくらいだったんだ。
「かげよ、お前のために食ったのさ」
 かげはひかりの答えに驚いた。
「俺のために? それはどんな意味なのか俺には分からない。説明をしてくれぬか、ひかりよ」
 ひかりは少し戸惑った。そこには家族に対する照れ臭さもあったかもしれないけれど、何よりもかげの状態が見極められないからっていう理由の方が大部分を占めていたからなんだ。
「かげよ、お前は俺たちが鳥に襲われたときのことを覚えているか」
「ああ」
「ではその時、尻尾を切り離したことも覚えているだろうか」
「ああ。覚えているよ」
「では、あれから数ヶ月が経ち、尻尾が元に戻っていることには気付いているだろうか」
 かげはぴくりと反応し、何かを確かめるように目を閉じた。
 きっと、尻尾との神経のつながりを感じ取っていたんだと思う。
 かげは目を開くと答えたんだ。
「おお、本当だ。確かに尻尾は元通り再生できているようだな」かげは喜んだけれど、その喜びは長く続かなかった。「ひかりよ、お前は頑張って体をすっかり以前のように戻すことができたのだな。しかし俺はそのことに気がつかなかった。それは俺の罪業のせいかもしれぬ。俺はなんの手助けをすることもできずに、お前一匹に全てを任せてしまった。ひかりよ、すまなかったな」
「かげよ、そのようなことは言ってくれるな。むしろお前の異変に気付かなかった俺こそが悪いのだ。俺は今、お前が回復してくれて嬉しいのだよ。今はこの喜びを、尻尾の再生とお前の回復という二重の喜びを、共に楽しもうではないか」
 ひかりの優しい言葉はありがたかったけれどもね、やっぱりかげの心には暗い疚しさみたいな物が残っていたんだ。
 けれども自分の回復のために欣喜雀躍しているひかりを見ているとね、その心の芯を打ち明けることはできなかった。
 一方のひかりは心の底から喜び、かげの記憶の空白時にどんなことがあったかを話したりしていた。
 有頂天のひかりにかげの心の闇を見つけることはできなかったし、かげはそれを隠すように努めていた。だから、ひかりがそのことに気付けなかったのも仕方のないことだって、ボクは思う。
 でも、なんでかな。どうしてだろう? 相手を思ってしたことが裏目に出る。そんな悲劇っていっぱいある。本当にこの世の中には、いっぱいいっぱい、そういう擦れ違った悲しみが溢れかえっている。
 ひかりとかげはね、そうして暫しの時を過してた。
 表面上はうまくやっていたよ。
 二匹は仲良く暮らしていたんだ。
 その暮らしの中から、ひかりはある違和感を感じていたんだけれど、その正体が分からなかった。
 以前の毎日と同じようでいて、決定的な何かが違っているって感じたんだ。
 よくよく注意して、ひかりはその原因を突き止めた。
 かげの心が閉じているっていうことに。
 かげは巧妙にそのことを隠していたけれど、毎日一緒に一つの体で過しているひかりには分かった。ひかりにしか分からなかった。
 ヒカリトカゲははぐれ者だからね。
 だからってひかりには、どうしたらいいのか分からなかった。
 そのことが、さらに擦れ違いを生んでしまったんだよ。
 そうこうしているうちに、ひかりとかげの間には深い溝ができてしまっていた。
 けれどある日、ひかりはこのままではいけないと考えて、溝を埋めるためにかげと話す決意をしたんだ。
「かげよ」ひかりは話しかける。「お前は深い悩みを抱えているのだろう。それを話してはくれまいか」
「ひかりよ」かげは答える。「やはりお前は気付いていたのだな。しかしこればかりは打ち明けるわけにはいかぬ」
「なぜだ」ひかりは少し語気を荒げた。
「それも言えぬのだ」
「それではなにも解決できぬではないか! 俺はお前のために悩み、考え、そうして互いに心の内を明らかにすべく決断したのだ。引くわけにはいかぬ。俺はお前が打ち明けてくれるまで水も飲まず餌も食べず、ずっとこうして動かない覚悟で居るつもりだ」
「俺はともかく、それではひかり、お前まで死んでしまうではないか」かげは嘆くように叫んだんだ。
「このままの状態が続くのならば、俺はそれでも良いと思っているよ」
 一転して平静に言うひかりに対して、かげは呻いたよ。
「ううむ。それでは話さぬ理由がなくなってしまうではないか。仕方がない。心の内を話すことにしよう」
「それはどういうことなのだ」
「ひかりよ、少し時間をくれぬか。話すためには頭の中を整理することが必要なのだよ」
「うむ。分かった」ひかりは言った。「ならば待つことにしよう」
 そして四つの目蓋は閉じられたんだ。
 一対の目蓋はひかりのもので、ただひたすらに言葉を待ち、相手の心を乱さぬように閉じられていた。もう一対のかげの目蓋は沈思黙考するために外からの刺激を寄せ付けないために閉じられていたんだ。
 やげて、二つの目蓋が開かれると左目で相手の顔を見、話しかけた。
「ひかりよ」
 残った二つの目がその声に応じて開かれ、話しかけられたひかりが返事をする。
「かげよ、考えがまとまったのか」
「ああ」かげは頷き、遠く前の方に視線を向ける。「俺はどうやらあの後から変わってしまったみたいなのだよ」
「あの後とは、俺たちが鳥に襲われ尻尾を切り離した後と言うことか」
「ああ。俺は変わってしまった。――いや。変わったと言うより――」
「どうした、かげよ」
 かげはひかりに促されても、ちょっとまだいいにくそうだった。
 まるで痛みに我慢しているような表情で、やっと搾り出した感じの声で続けたんだ。
「俺は変わってしまったと言うよりもむしろ――狂ってしまったようなのだよ。およそ、この世の全てが色褪せてしまったように見えるのだよ。考えることすらがもどかしく、どうしようもない灰色の世界に見えてならないのだ。つまり、生きるという意味が見えなくなってしまったということなのだ」
「生きることには」少し考えてからひかりは言った。「生きていること自体が大きな意味を持っているんではないかと俺は思うよ。少し考え方や世界の見方を戻せばよいだけなのではないだろうかな」
「ああ」かげは嘆息した。「俺はそのように誤解されるのを怖れていたのだ。それこそが問題なのだよ」
 ひかりは黙って、かげの言葉の真意を捜したのだけれどね、ひかりには分からなかったんだ。
「俺には分からないよ」ひかりは言った。「お前の言う意味が良く理解できないのかもしれないな」
「だからそれが違うのだ」かげは諦めたような、それはそれは寂しい目をして言ったんだ。「もっと大元。それよりもずっと根本的な所から俺は狂うてしまったのだよ。俺はお前が生きている意味を識る。知っているのではなく識っている。本当の意味で解っているのだ。しかし、俺の生きている意味が分かることすらできないでいるのだ」
「かげよ。確かにお前の言うとおり、どうやら俺とお前とでは考えている根元からして違うようだ。ならば教えて欲しい。俺の生きている意味とはどんなことなのだ」
「お前は生きるために生きているということよ」
 ひかりは意味が分からなくなって、かげの方を見ていたんだけれど、かげは相変わらず遠くを見たまま話していたんだ。だから、ひかりはかげの表情から何かを読み取ることもできず、すっかり困ってしまったんだ。
「俺を困らせないでくれよ」ひかりは音を上げた。「かげよ、もっと分かりやすく言ってはくれまいか」
「ああ、分かった」かげはようやくひかりを見たんだ。そこには厳しい覚悟めいた何かが宿っているみたいだったよ。「お前は生きるために体を動かし、餌を喰らい、水を飲むことができる。しかし俺にはそのようなことはできない。つまり、俺はお前にとって荷物以外の何者でもないと思っているのだよ。俺は必要のない存在なのだ」
「かげよ、それは間違っているぞ」ひかりはそう言ってかげを睨んだんだ。「お前の忠告のおかげで俺は尻尾を切り、生きている」
「ひかりよ、それこそ間違いの元というものさ。お前は俺のために、他のトカゲよりも多くのエネルギーを摂らなければならない。そのためにお前は体力を消費してしまうのだ。あの時のお前の疲れは俺のせいでもあるということさ」
「だが、しかし、俺はお前を肉親として、また友人として必要としているのだ」
「ひかりよ、それは俺も同じだ」
「ならば――」
「だからこそ、なのだよ」かげはひかりの言葉を遮って続ける。「俺はあの時まで、お前と同等であると思っていた。しかし実際はお前にぶら下がっているだけなのだ。俺がいなければ、お前は他のトカゲと色が違うだけの存在となろう。もしくは新たなる俺が、尻尾のように再生するやもしれぬ。ひかりよ、俺を切り離せ」
「いや、今でも同等だ。お前を切り離したりなぞするものか。お前は俺から離れれば死ぬのだぞ。もしくは俺も一緒に死ぬかも知れぬ」
「それは無い。安心しろ。お前は死なぬ」
「どのような根拠の元にお前は言う――」ひかりの息が、一瞬詰まったんだ。
 かげは自分の動かせられる首を、自分で切り離してしまったんだ。実力行使。
「ひかりよ」地面に落ちたかげが言う。「根拠も何も無い。お前は生き続けるのだよ。言葉では伝わらぬものもあるのだ」
「分かるものかよ」ひかりは苦痛に顔を歪ませていた。
 やっぱり、首を切り離すのは尻尾の時と同じようにはいかなかったみたいだ。
 かげの居た部分からは大量に血が流れている。
「この傷では次のお前など再生できるものかよ」
「すまぬ」かげの意識はぼんやりとし始めていた。「許せ、ひかりよ」
「まぁ次のお前ができなくとも、このくらいの傷口なら塞ぐこともできようよ」ひかりは優しい嘘をついた。
「そうか。ありがとう」
 あふれ出る血がひかりに飛んで、まるでひかりは血の涙を流しているみたいだった。けれど彼は構わずにかげの死をじっと見守っていたんだ。
 そして、かげは死んだ。
 死んでしまったんだ。
「――許すものかよ」
 ふらついた足を、しっかりと大地に爪を食い込ませてひかりはつぶやくと、かげの死体を食べ始めた。
「俺たちはこれで本当のひとつとなるのだ」ひかりはかげに話しかけるようにしながら食べ続けた。「俺の命も長くはあるまい。この傷口は塞がらぬ。それ以前に塞いではならぬのだよ。これから俺とお前は共に死という暗黒の中を進んでいくのだ。お前と一緒でなければ寂しいではないか」
 そうして、ひかりとかげは、生とコインの裏側である死へと旅立って行った。
 ボクはね、このお話をしている間に、あることに気付いてしまったんだ。
 ボクたち地球に生きている者には、光と影はコインの表と裏。でも天体レベルで見れば、光と闇が一対になる。だって光が無ければ闇も闇として認識されないだろうからね。この意味で言うと、コインは存在っていう表現で現わせられる。
 存在の反対は、多分、虚無。
 神様の言った「光あれ!」の光とは、実在として形を現せっていう意味だったのかもしれないね。
 ヒカリトカゲの肉体は完全にひとつの死体となってしまった。これから誰かに食べられるか腐るかして、ヒカリトカゲの姿は形を変えていくのだろう。
 ひかりとかげの魂は、きっと仲良く死後の世界の中で戯れているはずさ。
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無題
私にとって救いになりました。
ありがとう。
2008 / 12 / 15 ( Mon ) 16 : 28 : 35 編集
Re:無題
何よりの言葉です。
こちらこそ、ありがとうございます。
【 2008 / 12 / 21 22 : 08 】
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