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空の青さが、やけにムカツク

『揺れるココロ、と高鳴るドウキ』__完全自作の小説・詩・散文サイト。携帯からもどうぞ。
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 光と影っていうのは、真逆のようでいて、表裏一体なものなんじゃないかなってボクは思う。
 ほら、愛の反対は憎しみとか、そういった関係。
 光のある所には、必ず影があって、どこまでも付きまとう所とかが似ているじゃない?
 愛も反転してしまえば憎しみっていう感情に切り替えられてしまうものだからね。
 だから、この二つの対比は似ていると思うのです。
 似ている所は他にもあって、それは何かって言うと、ちょっと説明が難しいんだけれど、がんばってみようと思う。
 まずは、分かりやすいように愛と憎悪の関係から話を進めてみようかな。
「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」っていうことを、明石家さんまさんが言っているのを聞いたことがあるのだけれど、ボクはその見方に反対の気持ちを抱いているの。それはどうしてかって言うとね、愛と憎しみっていうのは、その相手の誰かに対する「関心」を持っているってことでしょう?
 だから、愛と憎しみとは同じレベルで論じることができるけど、この二つと「無関心」とのレベルって違うと思うの。
「無関心」の反対は、やっぱり「関心」なんじゃないかな。この二つは同じレベルとして成り立つと思うから。
 だってそうでしょう?
 愛と憎しみは「関心」の中にあるものだから。
 相手に対する「関心」のプラスの面とマイナスの面。つまりは「関心」「無関心」のレベルから見たら、下ってことになる。
 愛の反対が「無関心」なら、憎しみの反対だって「無関心」だものね。
 つまり相反する者っていう奴は、まさしくコインの裏と表のように、同じ枠内でしか対比できないってことだと思うの。
 で、これが光と影の間にどんな共通点があるのかって、みんな不思議に思うかもしれないよね。
 いい? 説明するよ。
 あくまで、愛と憎しみと「関心」と「無関心」の話を理解しているって前提で話すから、ちょっと分からない人が居るかもしれないけれど、それはボクの力不足のせいかな。
 謝ります。
 ごめんなさい。
 じゃあ、説明するね、光と影の関係って奴を。
 皆はこう思うかもしれない。
「光の反対って、影じゃなくて闇なのではないのか」って。
 でもボクはさっき光のある所には必ず影があるって言ったよね。
 覚えてるかな?
 影は闇の一部に思えるかもしれないけれど、ボクはそれって違うと思うんだ。
 だってさ、影と闇って、根本的に大きさが違うでしょ?
 影には薄い影もあれば、濃い影もあるでしょう? 特に夜の街灯の下に立ってみれば分かると思うんだけれど、薄い影の上に濃い影が重なるってことない?
 特に街灯と街灯の間で、そのうちのどっちかに近付いているときなんか。
 それは光の加減や角度なんかも作用していると思うんだけれど、影の濃度が均一でない場合があるってことだよね。
 でもさ、それに比べてみると、闇っていうのは本当に真っ暗で何も見えないイメージがするでしょ? そこには一点の光もなくって、混じりっ気なしの暗黒の世界。
 これで影と闇の違いは分かってもらえたかもしれないけれど、皆にはこんな思いが浮かぶんじゃないかな。
「闇は真っ黒なのは分かった。影と違うことも認めよう。だが、光は闇を照らす存在。闇と対等に闘い得る唯一の存在なのではないのか」って。
 ボクも最近まではそう思ってたんだ。
 でもさ、ミルトンの失楽園を呼んで思ったんだけど、キリスト教の神様って、混沌の支配する場所に空間を造り、次に初めて、あの有名な「光あれ!」って言葉を発したらしいのね。そこで初めて光がこの世に現れたってわけ。
 ボクはキリスト教の信者じゃないし、聖書の言葉通りに世界が作られたかどうかなんて知らない。
 でもね、そのときに思ったことがあったの。
 宇宙ってとんでもなく広くて、星もいっぱいあるじゃない? でもさ、星の見える数って限られてるよね。五等星とか六等星なんて肉眼では見られないんでしょ? 詳しくはしらないけれど。
 でさ、光と闇が対等なら、見えない星なんてないんじゃないかなって、そう思った。
 だって、ブラックホールなんか光粒子まで重力で捕まえちゃうんだよ。
 これはもしかして、光よりも闇のほうが高いレベルに居るのかなって考えちゃってさ、それからボクは色々想像して、こういう結論に達したわけ。たとえば光粒子は発見されてるけど、ダークマターはまだ正体が掴めないみたいだしさ。天文学のことはあまり分からないから、とんでもない間違いなのかもしれないんだけどね。
 光と影はワンセット。直感的にそう思ったんだ。
「ならば闇に対抗し得る存在は如何なる者であるのか」
 皆はそう思うだろうね。「無関心」に対して「関心」があったように。
 でも、ボクには答えられないんだ。ごめんね。正直に言って、分からない。もしかしたら闇に対抗できるレベルの者なんてないかもしれないよ。だって、この世界の全部が全部、対になっているとは限らないんだからね。
 こんな説明じゃ納得できないよね。そこで、ボクは闇が一番レベルが高くて、次に光、その下に影があるんじゃないかって思ってもみたの。だってさ、影は光がなきゃできないものね。
 あれ? そしたら愛とか憎しみとかの関係を話したのって意味なかったのかな?
 なんかごめんね。
 本当に長々と関係ない話ばかりして。
 だってこれまでの話、題名と関係ない感じになっちゃったからね。
 じゃあ、気持ちを切り替えて、あるトカゲの話をしようと思うんだ。
 そのトカゲの種類の名前は分からないんだけれど、体長は三十センチくらい。
 まだまだ小型の部類だね。
 赤道近くの熱帯雨林に住んでいて、雑食性。虫も食べれば花も食べるんだ。
 食料は豊富で、冬眠することもなく、トカゲは悠々自適に暮らしている。
 けれど、このトカゲにはいくつかの問題があったの。
 まず、第一に染色体の異常があって、このトカゲには生殖能力がないんだよね。雄でも雌でもないんだ。これは動物にとって致命的な問題でもあるわけ。そのせいかどうか分からないけれど、トカゲの色は金色っぽくて、一種のアルビノになっているんだ。これが第二の問題。
 でも、熱帯雨林には色々と色彩豊かな生物が跋扈しているから、天敵である鳥類に見つかる危険性は、他の地域に比べたら少ないみたい。実際、このトカゲは数年生きながらえているからね。
 この金色の体を持っているから、ボクはこのトカゲを「ヒカリトカゲ」って呼んでいるんだ。実際、太陽の光をその鱗で反射しているんだよ。
 で、もう一つ、最後に控えている特徴なんだけれど、これが一番厄介で、とても大変な現象なんだ。
 それはね、一つの体に二つの頭があるってこと。双頭のトカゲってわけ。これはもう、遺伝子レベルの問題になってしまうよね。
 地球環境のせいでこんなにいくつもの問題を抱えて生れ落ちたのか、それとも天然自然による運命のいたずらなのかは分からないけれど、ヒカリトカゲは特異な体質をこんなに抱えているんだ。
 でも、彼ら(性別のないのにこんな言い方をして良いのか分からないけれど、とりあえず彼という呼び方で呼ばせてもらうよ)は小さい頃から双頭だったから、もうとっくに慣れている。だから全然平気みたいなんだ。
 他のトカゲから避けられているけれど、彼らは一人じゃない。
 一つの体だけれど、二匹なんだから。
 時々はケンカするけれど、二匹はうまくやっている。
 ボクはこの二匹を区別するために、左の頭を「ひかり」右の頭を「かげ」って呼んでいる。
「ヒカリトカゲ」の「ひかりとかげ」なんてちょっと駄洒落も入っているんだけどね。
 二匹の体は、勿論共有されているから、体の感覚も一緒なんだ。
 尻尾が草に触れると、同時に二匹はそのことを感じる。それどころか、かげの頭に水滴が落ちた事だって、ひかりは感じて水滴がおちてきたなとか、かげの頬を伝うその水の生暖かさまで感じることが出来るんだ。
 でも、二匹は違う脳を持っているからね、もちろん違う意識を持っている。
 だから、お互いに何をどう感じ、考えているのかは分からない。
 たとえば、お腹が減ったとひかりが感じていても、かげはまだ大丈夫なんて思ったりしている。
 二匹の喧嘩の理由は、大抵がこんな小さな理由がきっかけなんだ。
 考えてみれば、人間だって同じようなことが原因で喧嘩することってあるよね。たとえばさ、結婚当初は仲の良かった夫婦でも、長い結婚生活を送っているうちに、相手の些細な行動が気にならなくって喧嘩するっていうようなこと。
 ましてひかりとかげは卵の中に居る時から一緒だったんだから、それはしょうがないことかもしれないってボクは思う。
 双子くらいだったなら、時には一人になって、冷却期間もできるだろうけれど、ひかりとかげは体がくっついているためにそんなこともできないんだ。
 いつも一緒に居るってことは孤独を感じることはないけれど、こういう場合なんかは可哀想だよね。
 でもヒカリトカゲは爬虫類だから、人間みたいに長い間喧嘩をすることってあまりない。すぐに忘れて、いつの間にか仲直りしているんだ。
 だから、ひかりとかげは仲良しのときの方が多い。
 基本的に、ひかりの性格が明るいことも原因なのかもしれないな。だからひかりからかげに話しかけ、それがきっかけで二匹の仲が戻るんだ。
 今の話で分かった人もいるかもしれないけれどね、二匹の性格は大分違う。
 また人間の話にたとえるけどさ、双子って二種類に分けられるらしいんだよね。
 あ、もちろん一卵性とか二卵性とか、そういう意味じゃないよ。性格の話。
 双子って、極端に仲がよいか、極端に仲が悪くなるものなんだって。
 双子女優のマナカナちゃんは仲がよい方に入るよね。彼女達は微妙に性格が違うらしいよ。本人達がそういっているのを、テレビで見たことがあるんだ。
 それに対して仲の悪い双子っていうのは、同族嫌悪ってヤツが理由らしいよ。似すぎているってことも、案外難しいものなんだよね。
 で、ひかりとかげの性格は違うって前に言ったとおりだから、だからうまくいっているのかもしれないね。
 ひかりの性格は、これもさっき言ったけど、詳しく説明すると明るくてアクティブでポジティブながら現実派って感じなんだ。
 かげは対照的な性格の持ち主で、おとなしくパッシブでネガティブで考え込んでしまう性格なんだよね。
 ボクが「ひかり」と「かげ」って呼んだ理由は、この性格に起因するんだ。二匹の能動性っていうのを考えてね。
 初めのほうに話したことって、皆覚えてる?
 光のほうが影よりもランクが上なんじゃないかって言う話。
 二匹の関係もその通りなんだ。
 でもひかりのほうがえらそうにしているとか、かげの方がへりくだっているとか、そういうことじゃあないんだよね。
「では、お前の言う真意はどこにある」って質問が聞こえそうだから説明するね。
 それは体に対する支配力ってことなんだ。
 自由に体を動かせられるひかりと、それのままならないかげ。
 体の主導権をひかりに握られたかげには、自分の内面へ内面へと心が向かったのかもしれない。
 これが二匹の根本的性格の違いなんだろうね。ボクは、そう確信しているよ。
 この図式ってさ、一見かげの悲哀を表しているように見えるけれど、逆に考えてみるとひかりのほうが大変なんだよね。
 だってかげが体を動かせない分、ひかりが食料の調達や喉の渇きを潤わさなくちゃいけないんだから。ひかりにしてみれば、かげは邪魔者なんだろうと思うよ。少なくとも、ボクがひかりだったら、そう思う。
 でもね、ひかりはかげを邪魔者扱いなんて一度もしたことはないんだ。
 そりゃ、何度も喧嘩をしたけれど、唯一の肉親だからなのかもしれない。
 体はひとつだけれども、二匹の差っていうのは確かにあって、それが個性なんだってことも、これで分かってもらえたかなって思う。
 ひかりは毎日の生活に必要な行動のために動き、這い、自分たちの生きるための努力をしている。
 かげは自分の思考に埋没し、心の底に溜まり続ける澱のようなものと、見えない格闘の中で葛藤している。
 二匹の考え方は違っているかもしれないけれど、共通しているのはひとつだけ。
 自分達が生き続けるために、自分なりの戦い方で生き残ろうとしているってこと。
 ひかりとかげを紹介する時にさ、ボクは彼らが悠々自適に暮らしているって言ったけど、自然っていうヤツは、やっぱりそれなりに厳しいものだからね。
 時には自分の身を守らなくちゃいけない時だってあるんだから。
 熱帯雨林は食料が豊富って言ったけれどもさ、それって言い換えると、自分も食料の一種ってことになるからね。
 この地域でも、食物連鎖のピラミッドは他の地域と一緒でさ。
 捕食するものの数の方が、上位に行くほど少なくなっているんだ。だから虫や草花の数が一番多くて、次に草を食べる虫や虫を食べる虫、それから虫を食べる花って具合に数が減っていく。
 中でもトカゲみたいな爬虫類は中くらいの位置でさ、数多くの食物がある変わりに、栄養の豊富な餌として恰好な標的にもなるんだよ。
 実際に、一度か二度、ひかりとかげは天敵の鳥に狙われたことがあるんだ。
 いくら器用に隠れようとしていても、鳥の視界っていうのは特殊だからね。望遠レンズのように、中心が特化して見えるんだ。
 だから、少しの油断も彼らは見逃さない。
 時には旋回しながら、時には滑空しながら、虎視眈々と地表を見つめている。
 鳥なのに、虎視眈々なんて言い方、なんだかちょっと変な感じがするね。鳥視眈々って言い方をすればよかったのかな? でもそんな言葉ないもんね。
 別な言い方、なにかないかなぁ。「イージス艦のレーダーのように」とか、「ハッブル宇宙望遠鏡のように」って言ったほうが良かったのかなぁ。
 あ、こんなことどうでもいい話だったね。
 それよりもひかりとかげが鳥に襲われたときの話をしなくっちゃ。
 一番最近の話っていうと、数ヶ月前のことだったかな。
 二匹はいつものように、昆虫とか蜘蛛とか、あざやかな花とかを食べていたんだ。
 二匹の体は一つだから、胃の大きさは普通のトカゲと同じくらい。でも双頭だからね、エネルギーの消費カロリーは他のトカゲよりも多いんだよ。さすがに倍とはいかないけれど、それでも1.5倍くらいはかかるかな。
 だからお腹がすぐに空く。
 ひかりはそのたびに巣から出ようとするんだけれど、かげは出不精だから文句を言う。ひかりはかげを宥めながら毎日外へ出る。これはいつものこと。日課みたいなものなんだ。
 ひとしきり食べてお腹がいっぱいになった時、雨が降ってきたんだ。
 二匹とも、調度喉が渇いていたから、少し雨に打たれて雨水を飲んでいたんだ。
 金色のヒカリトカゲは雨水に濡れて、とても綺麗に光っていたよ。
 それはそれは綺麗だったんだ。池に浮かぶように見える金閣寺みたいにね。
 人間が居たら、きっと見とれてカメラに写すのも忘れてしまうくらい。
 でも、鳥は違った。
 金色に輝くヒカリトカゲを見つけて、急降下してきたんだ。
 もちろん食べるためにね。
 初めに鳥が向かってくることに気付いたのは、かげだった。
「ひかりよ。鳥がこちらへ向かって来ているようだ。あの穴へ隠れよう」
「おおう。確かにあの鳥は俺たちを狙っているようだ」
 ひかりはかげが顎で指した穴に隠れようとしたんだけれど、その穴は、二匹にはちょっと狭すぎたようだったんだ。どうやっても尻尾が穴から出てしまってね。
 そして、鳥はそれを見逃すはずもなく、食いついてきたんだ。
 ひかりは地面に爪を立てて引きずられまいとしているんだけれど、鳥の力に適うわけもない。
 じりじりって感じに引き出されていく。
「ひかりよ。俺たちの尻尾は切り離せ、再生することができる。ここは尻尾を切り離すべきではないのか」
 けれどひかりはこう言ったんだ。
「確かにそうすることは出来る。しかし尻尾の再生には相当の時間とエネルギーが必要になることも、また事実なのだ」
「ふん」かげは鼻で笑った。「尻尾に執着し、生を拒むと言うのか。ならばそれでも良し。俺は、すでに生きることに飽いているのだからな」
「かげよ。お前は尻尾の確保を執着と言うのか」ひかりは少し考えてから続けたんだ。「確かに、それはそうなのかもしれぬな。俺は目の前の事物に捕らわれすぎるきらいがある。俺は、尻尾よりも生きることに執着したいとおもっているよ。ここはお前の言葉に従ってみたいと思う」
 そうしてひかりは尻尾を切り、難を逃れたわけなんだ。今ではもう金色の尻尾は再生されて、元に戻っているけどね。

<続く>
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無題
早く続きが読みたいです!
ワッフルワッフル
2008 / 12 / 10 ( Wed ) 15 : 00 : 04 編集
Re:無題
どぞどぞ、後編でございます。
【 2008 / 12 / 14 22 : 36 】
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