ジュウジュウと鉄板が運ばれてくる。
150gのサーロインステーキ。
パチパチと脂が跳ねる。
男はオニオンソースをステーキにかけた。
ジュワーッと音がたち、水分が蒸発してモワモワと煙が出た。
飴色のオニオンがプツプツと音をたて、鉄板は静かになってくる。
カチャカチャと音を鳴らせ、男はナイフとフォークを手に取した。
ズニュッとフォークを突き刺し固定させると、ナイフで切り始める。カリッと焦げた表面にナイフを当てると、シュゴッシュゴッと力を込める。
刃先が鉄板に当たり、ザラついたナイフと摩擦してズリッズリッと音をたてた。
ナイフ使いのせいで、肉の端がフルフル震え、フォークと接する穴からはプツリプツリと肉汁が溢れ出る。
一口サイズに切り取られた断面は、内側に近付くにつれてピンク色になっている。
焼き方はレアのようだ。
肉汁がジワジワ溢れ、滴となってポタリと落ちた。
男はゆっくりと肉を口へ運ぶ。
パクリと口に入れる。
グニッと右の奥歯で噛み締めると、ジュワッと肉汁が口中に広がってきた。
ベロの表面にある味覚が刺激されて、男の唾液がダラーッと分泌される。
ニチャグチャゴチャミチャと肉を噛み、ベロを使って左側の奥歯にヒョイと移す。磨り潰すように顎を使って、グニュグニュムリムチと歯応えを味わった。
唾と肉汁にまみれた肉片の群れをムムリッと飲み込む。
喉ごし良く、食道が肉を胃の中へと運ぶ。
男は旨さに納得して「フム」と頷くと、ペロリと唇を舐めた。
肉の脂で唇がヌメリと光る。
フォークを肉に突き刺し、次の肉片を切り取ろうとする。
しかし今度は脂身の抵抗に会い、簡単には切れなかった。
白っぽい二つの筋が肉と肉とをつないでいる。
男はチッと舌打ちをする。
フォークを肉に刺したまま、男は脂身の一本にナイフを押し当てる。
クリクリクリッと小刻みにナイフを動かすが、良く切れない。しかし確実に脂の紐は細くなっている。
男は早く肉を食べたい気持ちと、細くなっていく脂との格闘の両方を楽しんでいた。
さらに細かくナイフを前後に動かす。もうほとんどが鉄板とナイフの摩擦した感覚しかないのだが、ギリギリの所で二つの肉はつながっている。
腕を伝うザラついた感触。
ようやくにして、プッと脂身が切れる。
しかし脂の紐はもう一つあるのだ。
男はさすがに面倒になってきたのか、ナイフを大きい肉片にペタツクと付け、固定する。
上品とは言い難いが、フォークを横に滑らせる。
肉の断面からは間断なく肉汁がジンワリと出ている。
フォークの穴がププッと音をたてる。小さな肉は脂身の筋と、まだつながっている。男はジリジリとした気分になり、ここら辺でスッキリとしたカタルシスを感じたくなっている。
力を込めると、小さな肉がソースの上をツルンと滑り、脂身はプチンと小気味の良い音をたてて引き千切られた。
男はサッパリした気分で肉を口にポイッと放り込む。
ミチャニチャとした肉の柔らかさの中に、コリックリッとした違和感がある。
これは脂身によるものだろう。
グニッグニャッグニュッ
肉はすでにほぐれているが、脂身はなかなか噛み切れない。
右奥歯に貼り付いた肉を舌先でパロンッと剥がすと、左側に移動させ、ジリズリズリと脂身を磨り潰そうとする。
それでも脂身の塊は弾力を持っているため、容易には崩れない。
男は諦めると、塊のままの脂身とはぐれた肉を、唾液と肉汁と一緒にして飲み込もうとする。
ムムムッーーッリ
食道にも力がこもる。
何とか飲み込んだが、喉に詰まりそうだった。
グラスを掴むと、口に付け、グイッと傾ける。
ゴックリ、ゴクリ
水を二口飲むと、口の中にあった肉の旨みまでが洗い流され、味気なく感じる。
フゥーッと息を吐き、男は次の一口を切り取ろうと肉にフォークを刺した。ナイフを前後に動かし、シュゴッザリッと音をたてる。
――またしても脂身が邪魔をする。
肉が切り離せない。
ええい面倒だと言わんばかりにして男はナイフを大きい肉の方にザシュッと刺した。フォークとナイフを広げて脂身を断ち切ろうとする。しかし白い塊は伸び縮みを繰り返すばかりでなかなか切れない。
えいっとばかりに思い切り力を入れると、肉はスッポーンと滑って宙に浮かぶ。
クルリと反転して肉はソースを撒き散らかし、辺りをビショベショにして汚すと、無情にも床に落ちた。
ペタンと張り付く肉を見て、男は肩を落としてガッカリする。
150gのサーロインステーキ。
パチパチと脂が跳ねる。
男はオニオンソースをステーキにかけた。
ジュワーッと音がたち、水分が蒸発してモワモワと煙が出た。
飴色のオニオンがプツプツと音をたて、鉄板は静かになってくる。
カチャカチャと音を鳴らせ、男はナイフとフォークを手に取した。
ズニュッとフォークを突き刺し固定させると、ナイフで切り始める。カリッと焦げた表面にナイフを当てると、シュゴッシュゴッと力を込める。
刃先が鉄板に当たり、ザラついたナイフと摩擦してズリッズリッと音をたてた。
ナイフ使いのせいで、肉の端がフルフル震え、フォークと接する穴からはプツリプツリと肉汁が溢れ出る。
一口サイズに切り取られた断面は、内側に近付くにつれてピンク色になっている。
焼き方はレアのようだ。
肉汁がジワジワ溢れ、滴となってポタリと落ちた。
男はゆっくりと肉を口へ運ぶ。
パクリと口に入れる。
グニッと右の奥歯で噛み締めると、ジュワッと肉汁が口中に広がってきた。
ベロの表面にある味覚が刺激されて、男の唾液がダラーッと分泌される。
ニチャグチャゴチャミチャと肉を噛み、ベロを使って左側の奥歯にヒョイと移す。磨り潰すように顎を使って、グニュグニュムリムチと歯応えを味わった。
唾と肉汁にまみれた肉片の群れをムムリッと飲み込む。
喉ごし良く、食道が肉を胃の中へと運ぶ。
男は旨さに納得して「フム」と頷くと、ペロリと唇を舐めた。
肉の脂で唇がヌメリと光る。
フォークを肉に突き刺し、次の肉片を切り取ろうとする。
しかし今度は脂身の抵抗に会い、簡単には切れなかった。
白っぽい二つの筋が肉と肉とをつないでいる。
男はチッと舌打ちをする。
フォークを肉に刺したまま、男は脂身の一本にナイフを押し当てる。
クリクリクリッと小刻みにナイフを動かすが、良く切れない。しかし確実に脂の紐は細くなっている。
男は早く肉を食べたい気持ちと、細くなっていく脂との格闘の両方を楽しんでいた。
さらに細かくナイフを前後に動かす。もうほとんどが鉄板とナイフの摩擦した感覚しかないのだが、ギリギリの所で二つの肉はつながっている。
腕を伝うザラついた感触。
ようやくにして、プッと脂身が切れる。
しかし脂の紐はもう一つあるのだ。
男はさすがに面倒になってきたのか、ナイフを大きい肉片にペタツクと付け、固定する。
上品とは言い難いが、フォークを横に滑らせる。
肉の断面からは間断なく肉汁がジンワリと出ている。
フォークの穴がププッと音をたてる。小さな肉は脂身の筋と、まだつながっている。男はジリジリとした気分になり、ここら辺でスッキリとしたカタルシスを感じたくなっている。
力を込めると、小さな肉がソースの上をツルンと滑り、脂身はプチンと小気味の良い音をたてて引き千切られた。
男はサッパリした気分で肉を口にポイッと放り込む。
ミチャニチャとした肉の柔らかさの中に、コリックリッとした違和感がある。
これは脂身によるものだろう。
グニッグニャッグニュッ
肉はすでにほぐれているが、脂身はなかなか噛み切れない。
右奥歯に貼り付いた肉を舌先でパロンッと剥がすと、左側に移動させ、ジリズリズリと脂身を磨り潰そうとする。
それでも脂身の塊は弾力を持っているため、容易には崩れない。
男は諦めると、塊のままの脂身とはぐれた肉を、唾液と肉汁と一緒にして飲み込もうとする。
ムムムッーーッリ
食道にも力がこもる。
何とか飲み込んだが、喉に詰まりそうだった。
グラスを掴むと、口に付け、グイッと傾ける。
ゴックリ、ゴクリ
水を二口飲むと、口の中にあった肉の旨みまでが洗い流され、味気なく感じる。
フゥーッと息を吐き、男は次の一口を切り取ろうと肉にフォークを刺した。ナイフを前後に動かし、シュゴッザリッと音をたてる。
――またしても脂身が邪魔をする。
肉が切り離せない。
ええい面倒だと言わんばかりにして男はナイフを大きい肉の方にザシュッと刺した。フォークとナイフを広げて脂身を断ち切ろうとする。しかし白い塊は伸び縮みを繰り返すばかりでなかなか切れない。
えいっとばかりに思い切り力を入れると、肉はスッポーンと滑って宙に浮かぶ。
クルリと反転して肉はソースを撒き散らかし、辺りをビショベショにして汚すと、無情にも床に落ちた。
ペタンと張り付く肉を見て、男は肩を落としてガッカリする。
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Re:.・゚・(ノДT)・゚・.
タモリのジャパニカロゴスを見て思い付いた話ですよ。
表現力
こんにちは。
毎回楽しく拝読させて頂いております。
擬音での表現とは面白いですね。
最近の人の会話をそのまま文章にしたような感じで。
ただ、口の中へ入れた後の擬音はちょっと。
(丁度今食事をしながら読んでいましたので)
終りが近づくにしたがって、一人で笑っておりました。
毎回楽しく拝読させて頂いております。
擬音での表現とは面白いですね。
最近の人の会話をそのまま文章にしたような感じで。
ただ、口の中へ入れた後の擬音はちょっと。
(丁度今食事をしながら読んでいましたので)
終りが近づくにしたがって、一人で笑っておりました。
Re:表現力
>>ただ、口の中へ入れた後の擬音はちょっと。
奇をてらいすぎたですかね、不快にさせたらごめんなさいですm(_ _)m
奇をてらいすぎたですかね、不快にさせたらごめんなさいですm(_ _)m
Re:RE:
そうですか、読んでる方のシチュエーションも考えた方が良いんでしょうかねぇ。
もう少し注意書きを充実させようかなぁ。
もう少し注意書きを充実させようかなぁ。
そこまで
こんばんは。
気を使う必要はないと思いますよ。
私が、勝手に食事をしながら読んだだけですから。
本来は読む側が注意をしないといけないのです。
読み物は自己責任ですから。
お気になさらずにどうぞ。
気を使う必要はないと思いますよ。
私が、勝手に食事をしながら読んだだけですから。
本来は読む側が注意をしないといけないのです。
読み物は自己責任ですから。
お気になさらずにどうぞ。
Re:そこまで
そうですか、分かりました。
けれど読者諸氏に不快な思いはさせないよう、少し注意してみます。
けれど読者諸氏に不快な思いはさせないよう、少し注意してみます。