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空の青さが、やけにムカツク

『揺れるココロ、と高鳴るドウキ』__完全自作の小説・詩・散文サイト。携帯からもどうぞ。
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 ニーコちゃんは可愛いメスの白猫だ。
 二年ほど前にユウ君(勇輝、当時小学二年生。この時、将来の夢はお医者さん。しかしなぜか高校時代に弁護士になろうと決意。一流大学にて法律を学ぶも、途中で子供時代の夢を思い出し、医学部へ転向する。そして産婦人科医となり、自ら妻の出産時にて二人の子供((共に女児))を取り上げる事となる。後、長女は勇輝のもう一つの夢であった弁護士の資格を取得し、法律家への道へと進む。次女は父の後を継ぐため医大へ通うが、そこで出逢った男子学生と学生結婚。勇輝は怒り、一時絶縁状態になるも、二人が真面目に医師免許を取り、次女は産婦人科、夫は小児科の医師として成長するにつれ、両者の関係は軟化。結果的には次女を後継として迎え入れる事となる。なお、この時に長女が双方の間を取り持ったのではないかと近隣住民にはもっぱらの噂)に拾われたのだ。
 その時にニーコちゃんが「ニーニー」と鳴いていたので、ユウ君はニーコちゃんと名付けたのだ。
 初め、ママ(ひろ子。専業主婦。夫、達也との出会いは十年前。子供は勇輝一人。後の子と孫との関係に気を揉むが、無事に和解した事に安堵する。その時の猫の数は三匹)は反対したのだが、パパ(達也。私立中学教諭。性格は至って温厚。同僚、学生共に信任は厚い。彼の勤める私立中学校は一クラス二教諭制度であり、この時期の彼は主担任。数年後に学年主任となる。後、教頭、校長へと出世し、定年退職。子と孫との問題には楽観視しており、趣味のゲートボールに興じていた。結果から言って、彼の楽観的視点は正しかったのだが、自ら積極的に動かなかった事に対し、妻から小言を言われる)が「情操教育にもなるし、良いのではないか」との意見によって、ニーコちゃんはユウ君の家で飼われる事に決まったのだ。
 ニーコちゃんは朝、家族と一緒にカリカリした朝食を食べる。それからユウ君が学校へ行くまで、猫じゃらしで遊んでもらう。
 ユウ君が学校へ行ってしまうとママは忙しく家の中でパタパタ動き回るので、ニーコちゃんは家の玄関前に出て、日だまりに箱座りをして目を閉じる。
 しばらくすると近所の飼い猫、アメリカンショートヘアのショコラさん(茶と黒の縞模様、十歳、メス)が遊びに誘って来てくれる。
 そして二匹で散歩をするのだ。草の匂いをかいだり蜻蛉を追いかけたりしながら。
 ルートは決まっていて、ニーコちゃんは、いつもショコラさんの後ろについていく。なぜだかショコラさんさらは、覚えていないはずの、お母さんの匂いが感じられるからかもしれない。だからニーコちゃんはショコラさんと散歩できるだけで楽しくなるのだ。
 お昼近くになると、二匹は古いアパートへと向かう。
 そこには猫好きのお爺さん(春夫、元左官職人。昔は腕が良く、仕事も入ってきたが遊び好きでギャンブルに金を使い過ぎ、その金使いの荒らさから妻に愛想を尽かれて三十年前に離別。今は独身で年金暮らし。少ない収入のために賭け事は控えている。今の友達は、もっぱら安い酒と一夜干しのスルメイカ)が住んでいて、猫まんまを御馳走してくれるのだ。それに猫の扱いも上手い。耳の後ろや尻尾の付け根辺りを掻いてくれたりして、ニーコちゃんとショコラさんは喉を鳴らす。
 お爺さんはショコラさんを「茶の助」ニーコちゃんを「白の介」と呼んでいる。けれど二匹には名前なんてどうでも良いのだ。
 喉を鳴らして、ショコラさんと土の上でゴロゴロ転がって、お爺さんがニコニコしてくれれば、それだけでニーコちゃんは嬉しくなる。
 そのうちにショコラさんは眠くなってきたのか、玄関前に置いてある白い発泡スチロールの箱に入る。するとお爺さんは「ゆっくりしてお行き」と言って部屋に引っ込む。
 ニーコちゃんは自分も眠くなってきたのに気付くと、ショコラさんの上に重なって丸くなり、仲良く二匹で昼寝をする。
 夕方くらいになると、二匹は自然に目を覚まし、それぞれ勝手に家へ帰る。
 家ではユウ君が学校から戻っていて、ニーコちゃんはユウ君の膝に乗ると丸くなる。そして撫でてもらっているうちにウトウトし始めるのだ。
 でも晩御飯のためにすぐ起こされる。
 晩御飯は夜と違って、缶から出された魚味の柔らかい物を食べるのだ。カリカリしなくて少しつまらないけれど、味はこちらの方が好きなのだ。
 食後にユウ君と遊びたいのだけれど、いつも「宿題の邪魔しないで」と怒られる。仕方がないので、転がってきた消しゴムで遊ぼうとすると、その事でまた怒られる。
 そこでニーコちゃんは、テレビを見ているママの膝の上に乗る。
 時間が経つと、ユウ君は部屋から出て、お風呂に入る。
 ニーコちゃんは耳をピクピクさせて、ユウ君がお風呂から上がるのを待つのだ。
 そしてユウ君がお風呂から出ると、後ろをついて行く。部屋に入り、ユウ君とニーコちゃんは一緒に布団へ潜る。
 ユウ君のベッドにはユウ君の匂いが染みついていて、その匂いに包まれているのが、ニーコちゃんには一番安心できる時なのだ。
 きっと、初めてユウ君の腕に包まれた時と同じ感じがするからだろう。
 ニーコちゃんは体が大きくなって、今ではユウ君の腕から、はみ出てしまう。
 だから、あの頃の感じが味わえる、ユウ君のベッドが好きなのだろう。
 寂しさから救ってくれた、温かさに包まれて眠るのだ。
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