風が鳴いていた、木枯らし。
気温の谷間、冷えた夜。
ベランダに光る網、蜘蛛の糸。
長い脚に弄ばれる、もう一つの命。
糸に巻かれる屈辱と恐怖、そして絶望。
そうして、諦観。
否、否否否。
節足動物に、感情があるのだろうか。
本能以外に、自我や意識が存するのか。
人とは違った、基幹意識を持つものなのか。
帰納でも演繹でもない思考法、それは何処。
飛躍も推測でも憶測でもない、手法。
アトランダムなプログラムとも、異なる方式であるのは確か。
何らかの作為に依らずして、生存本能の確立は成し得ない。
自己保存と繁殖能力への渇望は、遺伝因子が命じている。
人と遺伝の違い、それがすべてか。
人と他の哺乳類の差とは、何ぞや。
遺伝子の違い、配列コードの組み違え。
いわゆる動物、畜生獣に時間の概念は無いと言う。
時の流れを把握出来るのは、人だけなのか。
しかし人にもよって、遺伝子の違いは有る。
多少の誤差だが、看過は出来ぬ。
盲目の者に色を伝えるは難しく、無痛無汗症患者に痛みを教えることも出来ぬ。
一般人は、共感覚を得られるだろうか。
なればそれは、個人単位の問題。
曰く、クオリア。
つまりは、人と人とは別の世界に住んでいる。
それを擦り合わせるのが、社会の規範常識モラル。
外れた者は、別の掟に縛られる。
厄介者は、知識と知恵。
故に人は、死ぬまで戦争を捨てられぬ。
気温の谷間、冷えた夜。
ベランダに光る網、蜘蛛の糸。
長い脚に弄ばれる、もう一つの命。
糸に巻かれる屈辱と恐怖、そして絶望。
そうして、諦観。
否、否否否。
節足動物に、感情があるのだろうか。
本能以外に、自我や意識が存するのか。
人とは違った、基幹意識を持つものなのか。
帰納でも演繹でもない思考法、それは何処。
飛躍も推測でも憶測でもない、手法。
アトランダムなプログラムとも、異なる方式であるのは確か。
何らかの作為に依らずして、生存本能の確立は成し得ない。
自己保存と繁殖能力への渇望は、遺伝因子が命じている。
人と遺伝の違い、それがすべてか。
人と他の哺乳類の差とは、何ぞや。
遺伝子の違い、配列コードの組み違え。
いわゆる動物、畜生獣に時間の概念は無いと言う。
時の流れを把握出来るのは、人だけなのか。
しかし人にもよって、遺伝子の違いは有る。
多少の誤差だが、看過は出来ぬ。
盲目の者に色を伝えるは難しく、無痛無汗症患者に痛みを教えることも出来ぬ。
一般人は、共感覚を得られるだろうか。
なればそれは、個人単位の問題。
曰く、クオリア。
つまりは、人と人とは別の世界に住んでいる。
それを擦り合わせるのが、社会の規範常識モラル。
外れた者は、別の掟に縛られる。
厄介者は、知識と知恵。
故に人は、死ぬまで戦争を捨てられぬ。
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一人で居れば裏切られない。憎まれない。期待もされない。期待しない。見下されない。皮肉も言われない。生活を乱されない。邪魔されない。時間を拘束されない。好きにできる。自立できる。自由である。
けれど独りで居ると、
けれど独りで居ると、
公園で出会った君は、ぼくにガムをくれたね。
不思議色の丸いガムは、とても甘くて視えない味がした。
本当に目が見えなくなった。
暗闇の中、君と二人。
なぜだか君の姿だけが、はっきり見えたんだ。
どうしてだろう。
まるで二人だけの世界みたいだった。
何の音も聞こえなくなった、その空間で、ぼくと君の心臓の鼓動だけが耳に伝わる。いや、頭に響く。テレパシーみたいに。
でも君は何も言わない。
ぼくも何も言わなかった。
なのに、ぼくたちの心は通じ合っていたね。
鼓動しか聞こえないのに、どうしてだろう。
鼓動しか聞こえていなかったからなのだろうか。
君の好意と悪意が胸に刺さった。
たぶん、君も同じだったんじゃないのかな。
君とぼくとの鼓動はリズムを作って、それがそのままガムを噛むリズムになった。
視えない味が、だんだんと無くなるにつれて、世界は明るさを取り戻し、君の姿は薄れていった。
ねえ、君はどこの誰だったんだい。
もう一度現れて、あの世界に連れて行ってくれないか。
無明の世界で、君と二人。
あの公園に行けば、あた会えるのかな。
けれど、あの公園はどこだったのだろう。
白昼夢? 偽りの記憶? 君はどこ?
ねえ、もう一度だけ会ってくれないか。そしてまた、あのガムを━━
不思議色の丸いガムは、とても甘くて視えない味がした。
本当に目が見えなくなった。
暗闇の中、君と二人。
なぜだか君の姿だけが、はっきり見えたんだ。
どうしてだろう。
まるで二人だけの世界みたいだった。
何の音も聞こえなくなった、その空間で、ぼくと君の心臓の鼓動だけが耳に伝わる。いや、頭に響く。テレパシーみたいに。
でも君は何も言わない。
ぼくも何も言わなかった。
なのに、ぼくたちの心は通じ合っていたね。
鼓動しか聞こえないのに、どうしてだろう。
鼓動しか聞こえていなかったからなのだろうか。
君の好意と悪意が胸に刺さった。
たぶん、君も同じだったんじゃないのかな。
君とぼくとの鼓動はリズムを作って、それがそのままガムを噛むリズムになった。
視えない味が、だんだんと無くなるにつれて、世界は明るさを取り戻し、君の姿は薄れていった。
ねえ、君はどこの誰だったんだい。
もう一度現れて、あの世界に連れて行ってくれないか。
無明の世界で、君と二人。
あの公園に行けば、あた会えるのかな。
けれど、あの公園はどこだったのだろう。
白昼夢? 偽りの記憶? 君はどこ?
ねえ、もう一度だけ会ってくれないか。そしてまた、あのガムを━━
心を開くのが怖いから、深く深く潜るんだ。
ぼくが殺されないように、心を深く埋めるんだ。
でも、いつからだろう?
重い重いシールドは、軽い風では破れなくて、渦巻く嵐ですら傷付かない。
色濃く森深く、水圧強い深海に包まれて、自分で自分が見えなくなった。
ぼくは自分を解れない。
ぼくの楯は堅すぎる。
永遠にとけられないパズル、通路の壁さえ見えない迷宮、雲の中に隠れたお城。
オフのスイッチが見付からない。
誰かバリアを壊してくれないか。
遮るぼくの手を振り切って。
誰か、ぼくの心を見付けてくれないか。
誰か壊して。
ぼくはそれを妨げるけれど。
刃を突き立て、切り刻んで、破り、割り、粉砕して、業火で滅してくれないか。
ぼくは堅固に護るから。
ぼくは必死に防ぐから。
半端な気持ちで近寄らないでくれ。
ぼくの守りは完璧だ。
策も練らず、迂濶に来れば君の命も危機に陥る。
ぼくが殺されないように、心を深く埋めるんだ。
でも、いつからだろう?
重い重いシールドは、軽い風では破れなくて、渦巻く嵐ですら傷付かない。
色濃く森深く、水圧強い深海に包まれて、自分で自分が見えなくなった。
ぼくは自分を解れない。
ぼくの楯は堅すぎる。
永遠にとけられないパズル、通路の壁さえ見えない迷宮、雲の中に隠れたお城。
オフのスイッチが見付からない。
誰かバリアを壊してくれないか。
遮るぼくの手を振り切って。
誰か、ぼくの心を見付けてくれないか。
誰か壊して。
ぼくはそれを妨げるけれど。
刃を突き立て、切り刻んで、破り、割り、粉砕して、業火で滅してくれないか。
ぼくは堅固に護るから。
ぼくは必死に防ぐから。
半端な気持ちで近寄らないでくれ。
ぼくの守りは完璧だ。
策も練らず、迂濶に来れば君の命も危機に陥る。
泣きたい感情に溺れていたい。
それが自分を哀れむためのものでも。
心を空にして、すべて忘れて激情の波に呑まれたい。
けれど泪は流れない。
感情にブレーキが、かかってるから。
厄介な無意識。
面倒なプライド。
つまらない自意識。
誰も見ていないのに。
一人で居ても泪を流せない。
泪が滲んで、いつもそこまで。
邪魔する理性は誰の味方?
正直すぎる心情は誰の敵?
狭間で迷わす不安定は誰からの差し金?
迷いこそが正直な心なのか。
悩みこそが乗り越えるべき壁なのか。
いつか雪解けは来るのだろうか。
周回的に襲い来るうつの波のせいなのか。
自然を受け入れ、適当な流れに身を任せていれば楽なのだろう。
でもね、それが出来たら苦労しない。
それが出来ない病気なんだ。
慣れるしかない。
慣れるしかない。
時間をかけて、時には後退する目にあったとしても。
ゆっくり、ゆっくり、自分を赦せ。
それが自分を哀れむためのものでも。
心を空にして、すべて忘れて激情の波に呑まれたい。
けれど泪は流れない。
感情にブレーキが、かかってるから。
厄介な無意識。
面倒なプライド。
つまらない自意識。
誰も見ていないのに。
一人で居ても泪を流せない。
泪が滲んで、いつもそこまで。
邪魔する理性は誰の味方?
正直すぎる心情は誰の敵?
狭間で迷わす不安定は誰からの差し金?
迷いこそが正直な心なのか。
悩みこそが乗り越えるべき壁なのか。
いつか雪解けは来るのだろうか。
周回的に襲い来るうつの波のせいなのか。
自然を受け入れ、適当な流れに身を任せていれば楽なのだろう。
でもね、それが出来たら苦労しない。
それが出来ない病気なんだ。
慣れるしかない。
慣れるしかない。
時間をかけて、時には後退する目にあったとしても。
ゆっくり、ゆっくり、自分を赦せ。