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空の青さが、やけにムカツク

『揺れるココロ、と高鳴るドウキ』__完全自作の小説・詩・散文サイト。携帯からもどうぞ。
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泣き声が聞こえてきた。
ぼくは歩みを止め、辺りを見回す。
そのものすごい泣き声。近くの空き地から聞えてくる様だった。
気になったぼくは、泣き声の方へと歩きだした。
空き地に着く。
その真ん中で、中年の男が泣いていた。
地面にしゃがみこみ、丸くなって号泣している。
彼に近付き、ぼくは声を掛けた。
それでも彼は泣き止まず、ぼくを無視して泣き続けた。
やれやれとため息をつく。
男を観察してみると、顔がアザだらけなのに気が付いた。どうやら誰かにさんざん殴られた後らしい。
ぼくは何度も、男に向かって声を掛けた。
なのに彼は泣き続ける。
まったく、いい年をした大の大人が、こんなトコで何泣いてんだか。
見ているうちに、ぼくにムラムラとした気持ちがわき起った。
『こんなダメな人間、こうなってもしかたがないのだ。ホントにウジウジしてて、何もできなくて…ぼくもコイツを殴ってやろうか』
ぼくはその男の胸ぐらを掴むと、ムリヤリ立たせて、横っツラを張り倒した。
「ヒィィ」男が悲鳴をあげる。「ヒイィィィー」
この男に、ふさわしい、ひどく悲しそうなミジメな悲鳴。
まるで豚の悲鳴だ。
それはぼくの嗜虐心を大きく煽る。
襟を掴み、ぼくは何度も殴りつけた。
男の口から血が流れ、鼻血も出て、それでもぼくは殴り続けた。
どんなに殴っても、男は気を失わない。
根を上げたのはぼくの方だった。
殴り疲れて、襟を放す。
男は地面に倒れこむ。
「ヒック、ヒック、ウェ~」
男は、今までよりも大きな声を張り上げて泣き出した。
ぼくはその声に満足すると、空き地を後にした。
すっきりした気持ちで帰途につく。
泣きじゃくる、誰かを置いて。
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ヾ(・ω・)ゞ
どもです!読ませていただきました♪

ダークな話、好きなんですよね、個人的に♪
これから読みに来ますんでよろしくです。
石巻 2007 / 05 / 01 ( Tue ) 03 : 05 : 49 編集
Re:ヾ(・ω・)ゞ
石巻さん、わざわざありがとうございます。
お気付きの点がありましたら、遠慮なくご指摘下さい。
【 2007 / 05 / 01 09 : 52 】
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